
男性向け骨盤底筋トレーニングの基本と続け方
呼吸を止めずに骨盤底筋の正しい収縮感覚をつかみ、適切なインターバルを設けて安全に鍛えるための実践トレーニング手順をわかりやすく解説します。
この記事のポイント
動画を見ながら骨盤底筋を動かしていると、いつの間にか回数を足したくなる。次の日に下腹部が固くなり、何が良かったのか分からなくなることもあります。最初に決めるのは回数ではなく、息をしながら収縮し、力を抜くところまで行うことです。
勃起時ケーゲル


左:脱力。右:骨盤底筋を軽く引き上げるイメージです。手や腰は動かしません。
骨盤底筋ベーシック


左:仰向けで力を抜く。右:尿道と肛門の周りを内側・上へ軽く引き上げるイメージ。腰は持ち上げません。
クイック収縮


左:立って力を抜く。右:同じ姿勢で骨盤の底を1秒だけ締め、2秒完全にゆるめます。
骨盤底筋・長めキープ


左:座って力を抜く。右:骨盤の底を軽く締めて5〜8秒保ち、同じ長さだけ休みます。
強く締める前に、小さく正確に動かす
骨盤底筋は、尿や便を保つ動きなどに関わる骨盤の底の筋肉です。練習では、尿道や肛門の周囲を内側・上方向へ軽く引き上げる感覚を探します。お尻や太ももを主に締めたり、腹筋全体を固めたりする必要はありません。息を止めず、休む間は骨盤底も含めて力を抜きます。鏡に映る大きな動きを作る運動ではありません。
UrologyHealthの資料は、短い保持や素早い収縮を休みと組み合わせる方法を示しています(Urology Care Foundation, 2022)。研究で使われた手順は、その研究参加者の条件の中で調べられたものです(Milios et al., 2020)。自分の痛みや排尿の状態を無視して同じ量を行う理由にはなりません。
まず一セットを短くする
椅子に座り、足の裏を床へ置きます。息を吐きながら骨盤底を一秒ほど軽く引き上げ、同じ時間かそれ以上かけて完全に放します。数回行ったら、次のセットをすぐ足さず、普通に呼吸できるか、腹部やお尻が固まっていないかを確認します。排尿中には行いません。
一週間の例として、月・水・金だけ短い練習を置き、間の日は休む形があります。これは全員に合う処方ではなく、動きを観察するための開始案です。翌日に痛み、つっぱり、排尿の違和感があれば中止し、量を増やす前に医療者へ相談します。
骨盤底筋ベーシックのやり方
仰向け、椅子に座る、立つ姿勢のうち、腹部やお尻に力が入りにくいものを選びます。息を止めず、骨盤底筋だけを無理のない強さで3秒締めます。3秒の間は途中で力を強めず、同じ程度の軽い収縮を保ちます。お尻や太ももを強く締めたり、腹筋全体を固めたりしないでください。5秒の休憩では骨盤底も完全に脱力し、次の収縮まで力を残さないようにします。
この3秒収縮と5秒休息を10回で1セットとします。最初は1セットで終え、動作が乱れず翌日に違和感がなければ、別の日に2セット目を検討します。痛み、骨盤周辺のつっぱり、排尿の違和感、疲労が出る前に終了します。
クイック収縮のやり方
姿勢が安定する椅子座位または立位で始めます。骨盤底筋を軽く1秒締めたら、一回ごとに力を完全に抜き、2秒休みます。収縮を連打するように続けず、この1秒収縮と2秒休息を区切って10回行います。2秒で十分にゆるまないときは休憩を延ばし、速さよりも毎回脱力できることを優先します。
お腹、臀部、太ももまで一緒に固くなる場合は、力を弱めるかその日の練習を終えます。速さや回数を増やすことを目標にせず、毎回きちんと力を抜けたところで完了です。
骨盤底筋・長めキープのやり方
まず骨盤底筋ベーシックの3秒収縮・5秒休息を数回行い、息を止めず、お尻や太ももに力を入れずに動かせることを確かめます。そのうえで、無理のない強さで5〜8秒締め、同じ時間を完全に休みます。設定された秒数まで保てない、途中で力が抜ける、別の筋肉が固まる場合は、保てる短い時間に調整してください。長く強く締めるほどよいわけではありません。
6回で1セットとし、1〜2分休んでから、余裕がある日だけ2セット目を行います。秒数を満たすために力んだり、息を止めたり、痛みを我慢したりする必要はありません。終了後に力が抜けにくい場合も中止し、短いベーシックへ戻すか休みます。ベーシック、クイック収縮、長めキープを同じ日に全部行う必要はありません。
正しく骨盤底筋を使えているか確認する方法
力の入れ方が分かりにくいときは、落ち着ける場所で、弱い力を一度だけ試します。自分で触れて確かめる場合は、会陰部(陰嚢の後ろから肛門の手前にある皮膚)へ指先を軽く当てます。軽く収縮したときに、その部分が指から離れるように内側・上方向へ動く感覚があるかを見ます。押し下げる感じや痛みがあれば、続けずに力を抜いてください。
鏡を使う場合は、陰茎の根元がわずかに内側へ引かれ、陰嚢が少し上がるかを確認できます。動きが小さい、見えにくいというだけで、正しく動かせていないとは限りません。目立つ動きを作ろうとして強く締めたり、何度も試したりしないでください。軽く試しても感覚が分からない、痛みや排尿の違和感がある場合は、骨盤底の相談に対応する医療者へ確認します(Royal Free London NHS Foundation Trust, 2024)。
排尿の途中で尿を止める方法は、筋肉の位置確認の例として紹介されることがあります。ただし、日常のトレーニングとして繰り返す方法ではありません。確認のために行う必要はなく、排尿は普段どおり最後まで行ってください。
回数ではなく質を残す
BananaUpでは、トレーニングの実施日や収縮させた秒数、反復回数、身体の違和感や張り感の有無を日々の記録(Daily Log)として手軽に残せます。最初の1〜2週間は「呼吸を止めずにリラックスしてキープできた」「お尻や太ももに余計な力が入らなかった」「終了後に痛みや骨盤周辺の違和感がなかった」といった、動作の正確さと身体感覚を丁寧にメモしておきます。回数や秒数を急いで増やすことよりも、正しいフォームで毎回しっかりと脱力できているかどうかを落ち着いて確認することが最も大切です。
たとえば、10回できた日より、5回で力を抜けた日のほうが次の日に快適なことがあります。数字だけを追うと、筋肉を縮め続ける方向へ傾きます。収縮とリリースを一組として記録するのがコツです。
やりすぎを感じたら止まる
骨盤の痛み、下腹部のけいれん、排尿が出にくい感覚、射精時の痛み、新しい尿漏れが現れたら、練習を続けず受診を考えてください。手術やけがのあと、医療者から別の指示を受けている場合も、その指示を優先します。骨盤底筋を鍛えることが、すべてのコンディションの悩みを解決するわけではありません。
14日間のRoutineとして試す
短い練習を置く曜日と、休む日を決めたら、Routine Finder で 骨盤底筋ベーシック を追加できます。実施日を BananaUpの14日記録 に残し、睡眠、ストレス、日々の状態も同じ日付で比べてください。自分の反応を見ながら、続けるか、休むか、相談するかを決めます。
勃起時ケーゲルのやり方
勃起時ケーゲルも、動かすのは骨盤底筋です。楽な姿勢で腹部・お尻・太ももの力を抜き、軽く収縮したあと、完全にゆるめます。手で陰茎を持ち上げたり、重りを載せたりはしません。わずかな動きを作るために力を強める必要もありません。
BananaUpの勃起時ケーゲルは回数を記録する項目で、初期の目安は5回です。通常のベーシックや長めキープを行った日に、別枠の追加ノルマとして重ねる必要はありません。たとえば今日はベーシックだけを選んだなら、その一項目を記録して終えられます。痛みや排尿の違和感が出たら中止してください。
骨盤底筋を締めたあとに完全に休める動きは、NIDDKの案内でも説明されています(NIDDK, n.d.)。これは勃起状態で行う方が優れているという比較結果ではありません。軽い収縮と脱力が分かりにくい場合は、基本の姿勢で動かし方を医療者に確認できます。
参考資料
- Milios JE, Ackland TR, Green DJ. Pelvic Floor Muscle Training and Erectile Dysfunction in Radical Prostatectomy: A Randomized Controlled Trial Investigating a Non-Invasive Addition to Penile Rehabilitation. Sexual Medicine. 2020;8(3):414–421.
- Urology Care Foundation. Bladder Control: Pelvic Floor Muscle Strength—What You Should Know. 2022.
- Royal Free London NHS Foundation Trust. Pelvic floor exercises for male patients. Approved 1 July 2024.
- National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases. Kegel Exercises. n.d.
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